まるで宝探し!ワインラベルの読み方が分かると、好みの1本が必ず見つかる

こんにちは、CalivinoのManamiです。

ワインショップにずらりと並んだたくさんのボトル。まるで図書館の本棚のように、背表紙だけでは中身がわからない、ミステリアスな雰囲気にワクワクしませんか?

私がワインに夢中になり始めた頃、この「ワイン選び」が一番の悩みであり、同時に最高の楽しみでもありました。特に、フランスやイタリアのクラシックなラベル。呪文のような言葉が並んでいて、「一体何が書いてあるの…?」と、ただただデザインの好みだけで「エイヤ!」と選んでしまうこともしばしば。ある時、ボルドーワインが飲みたくて、いかにも高級そうな城(シャトー)が描かれたラベルのワインを意気揚々と買って帰ったんです。でも、飲んでみたら想像していたカベルネ・ソーヴィニヨンのガツンとした感じではなく、メルロー主体のとてもまろやかな味わい。もちろん美味しかったのですが、「私が飲みたかったのはこれじゃない…!」と、少しだけ悔しい思いをしました。

この経験が、私を「ワインラベル解読」の冒険へと駆り立てました。ラベルは、そのワインの「自己紹介シート」であり、「取扱説明書」。産地、ブドウの品種、造り手の哲学、そして格付けまで、ボトルの中に眠る物語を雄弁に語ってくれているんです。

「ワインラベルの読み方が分かると、好みの1本が必ず見つかる」。これは決して大げさな言葉ではありません。まるで宝の地図を読み解くようにラベルを理解できれば、膨大なワインの海の中から、あなたの「これだ!」と思える特別な1本を、自分の力で見つけ出せるようになります。

今日の記事では、かつての私のように「ラベルの前で立ち尽くしてしまう…」というワイン初心者の方に向けて、この宝探しの羅針盤となる「ワインラベルの読み方」を、世界地図を広げるように、国ごとの特徴を追いながら、どこよりも詳しく、そして楽しく解説していきます。この記事を読み終わる頃には、あなたもワインショップで自信を持って、自分だけの宝物の一本を探せるようになっているはずです。

 

なぜワインラベルはこんなに複雑?国によって違う「自己紹介」の仕方

 

まず、多くの方が疑問に思うのが、「どうしてワインのラベルはこんなに分かりにくいんだろう?」ということではないでしょうか。その最大の理由は、ワインの生産国によってラベルで伝えたい「情報の優先順位」が全く異なるからです。

 

伝統と土地を語る「旧世界(オールドワールド)」のワインラベル

 

フランス、イタリア、スペイン、ドイツなど、古くからワイン造りの歴史があるヨーロッパの国々を「旧世界(オールドワールド)」と呼びます。

旧世界のワイン造りで最も大切にされる概念が「テロワール(Terroir)」です。これはフランス語で「土地」を意味しますが、単なる土壌だけでなく、その土地の気候、地形、日照時間、水はけ、さらにはその土地に根付く伝統や文化まで含んだ、ブドウが育つ全ての環境を指す言葉です。

旧世界の人々は、「ワインの味わいは、ブドウ品種そのものよりも、”どの土地で育ったか”によって決まる」と考えています。そのため、ラベルで一番にアピールしたいのは「産地名」なのです。

例えば、フランスのブルゴーニュ地方では、「ピノ・ノワール」というブドウ品種の名前がラベルに書かれていないことがほとんどです。その代わり、「ジュヴレ・シャンベルタン」や「ヴォーヌ・ロマネ」といった村の名前が大きく記載されています。これは、「この村で造られたピノ・ノワールは、こういう個性を持っている」という共通認識が、造り手と飲み手の間にあるから。つまり、「産地名=味わいのスタイル」を保証するブランドになっているのです。

初心者にとっては、この「産地名とブドウ品種(そして味わい)が頭の中で結びつかない」という点が、旧世界ワインのラベルを難解に感じさせる一番の要因かもしれません。

 

ブドウ品種で個性を語る「新世界(ニューワールド)」のワインラベル

 

一方、アメリカ、オーストラリア、チリ、ニュージーランド、南アフリカなど、ヨーロッパからワイン造りが伝わった国々を「新世界(ニューワールド)」と呼びます。

新世界のワイン造りは、ヨーロッパの伝統に縛られない、自由な発想と最新技術を取り入れているのが特徴です。彼らがワインの個性を伝える上で最も重視するのは、「ブドウ品種」です。

新世界のラベルを見ると、「カベルネ・ソーヴィニヨン」や「シャルドネ」といったブドウ品種名が、一番目立つように大きく書かれていることがほとんどです。これは、「私たちはこのブドウを使って、こんな味わいのワインを造りました!」という、非常にストレートで分かりやすい自己紹介と言えます。

気候も温暖な地域が多く、太陽の光をたっぷり浴びて育ったブドウから造られるワインは、果実味が豊かでパワフルな味わいのものが多くなります。初心者の方が「ワインって美味しい!」と感じやすいのは、こうした新世界のフルーティーなワインであることが多いかもしれませんね。

このように、「土地」を語る旧世界と、「ブドウ」を語る新世界。この根本的な考え方の違いが、ラベルの表記スタイルを大きく分けているのです。まずはこの大前提を頭に入れておくだけで、目の前のラベルがどちらのタイプの自己紹介をしているのかが分かり、ぐっと理解が深まりますよ。

 

【フランス編】ワインラベルの読み方完全ガイド!ブルゴーニュとボルドーの違いも解説

 

それでは、いよいよ具体的なラベルの解読術に入っていきましょう。まずは、ワインの世界の王様ともいえるフランスから。フランスワインのラベルは、ワイン愛好家にとって憧れであると同時に、最も複雑で難解と言われるものでもあります。しかし、ポイントさえ押さえれば大丈夫。特に重要な「ボルドー」と「ブルゴーニュ」という二大産地の違いに注目しながら、丁寧に解説していきます。

 

城(シャトー)が主役!「ボルドーワイン」のラベル解読術

 

ボルドー地方は、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローといった複数のブドウ品種をブレンドしてワインを造るのが特徴です。ラベルにブドウ品種名が書かれていることは稀で、代わりに「シャトー(Château)」という言葉が目立ちます。シャトーとは、ブドウ畑を所有し、栽培から醸造、瓶詰までを一貫して行う生産者のこと。つまり、「シャトー名=ワインの銘柄」となります。

ボルドーワインのラベルでチェックすべき重要ポイントは以下の通りです。

  1. シャトー名(Château ○○)

    • これがワインの名前です。有名な「シャトー・マルゴー」や「シャトー・ラフィット・ロートシルト」などがこれにあたります。

  2. 格付け(Grand Cru Classéなど)

    • ボルドーには、特に優れたシャトーをランク付けする「格付け」制度があります。最も有名なのが1855年に制定された「メドック地区の格付け」で、第1級から第5級まで存在します。ラベルに「Grand Cru Classé (en 1855)」と書かれていれば、それは格付けシャトーの証。品質の高さを示す重要な指標となります。他にも、サンテミリオン地区の格付け(Saint-Émilion Grand Cru)など、地区ごとに異なる格付けが存在します。

  3. アペラシオン(産地名)

    • Appellation d'Origine Protégée (AOP)」または「Appellation d'Origine Contrôlée (AOC)」と表記されます。(現在、EUの規定でAOPに統一されつつありますが、AOC表記もまだ多く見られます)。これは「原産地呼称保護(統制)」を意味し、国が定めた品質基準(使用できるブドウ品種、栽培方法、アルコール度数など)をクリアしたワインであることの証明です。

    • AOPの後に続く地名が具体的な産地を示します。例えば「Appellation Pauillac Contrôlée」とあれば、「ポイヤック村」という、より限定された高品質な産地のワインであることがわかります。産地名は、広い範囲(例:Bordeaux)から、地区(例:Médoc)、村(例:Pauillac)へと狭まるほど、ワインの個性が明確になり、一般的に品質も高くなる傾向があります。

  4. ヴィンテージ(収穫年)

    • ブドウが収穫された年です。ボルドーは天候の影響を受けやすい産地なので、ヴィンテージによってワインの出来が大きく変わります。

  5. 瓶詰情報(Mis en Bouteille au Château)

    • 「シャトーで瓶詰めされた」という意味。栽培から瓶詰めまで、そのシャトーが一貫して責任を持って造った証であり、品質の高さを物語る重要な一文です。

 

畑(クリマ)が全て!「ブルゴーニュワイン」のラベル解読術

 

ブルゴーニュ地方は、赤ワインならピノ・ノワール、白ワインならシャルドネというように、原則として単一のブドウ品種でワインを造ります。ここで最も重要視されるのは、シャトーではなく「畑(Climat / Lieu-dit)」です。ブルゴーニュでは、同じ村の中でも、ほんの数メートル違うだけで土壌の質が変わり、ワインの味わいに大きな影響を与えると信じられています。この特定の区画された畑こそが、ワインの個性を決定づけるのです。

ブルゴーニュワインのラベルは、この「畑の格付け」がピラミッド構造になっているのが特徴です。

  1. 生産者名(Domaine / Maison)

    • ブルゴーニュでは「ドメーヌ(Domaine)」という言葉がよく使われます。これは自社畑のブドウのみを使ってワインを造る生産者のこと。一方、「メゾン(Maison)」は、ブドウや果汁を買い付けてワインを造る生産者(ネゴシアン)を指します。一般的に、ドメーヌの方が畑の個性がより反映されやすいと言われます。

  2. 畑の格付けとアペラシオン(産地名)

    • ブルゴーニュの品質は、この格付けを理解することが鍵となります。ピラミッドの上から順に見ていきましょう。

      • 特級畑(グラン・クリュ / Grand Cru):ピラミッドの頂点に立つ、最も偉大な畑。ラベルには畑の名前だけが大きく記され、村の名前は表記されないか、小さく書かれるのが特徴です。(例:Romanée-Conti, Chambertin, Montrachet)。アペラシオン表記は「Appellation [畑名] Contrôlée」となります。

      • 一級畑(プルミエ・クリュ / Premier Cru):特級畑に次ぐ優れた畑。ラベルには村の名前畑の名前が併記され、「1er Cru」または「Premier Cru」と必ず書かれています。(例:Gevrey-Chambertin 1er Cru "Clos Saint-Jacques")。

      • 村名ワイン(ヴィラージュ / Village):特定の村の名前が名乗れるワイン。その村の個性が感じられる、ブルゴーニュワインの基本となるクラスです。(例:Gevrey-Chambertin, Vosne-Romanée)。

      • 広域ワイン(レジョナル / Régionale):ブルゴーニュ地方全域など、より広い範囲のブドウから造られるワイン。「Bourgogne Rouge」や「Bourgogne Chardonnay」のように表記されます。価格も手頃で、ブルゴーニュ入門に最適です。

  3. ヴィンテージ(収穫年)

    • ボルドー同様、ブルゴーニュもヴィンテージが非常に重要な産地です。

ボルドーが「シャトー」というブランドで語られるのに対し、ブルゴーニュは「畑」という名のテロワールで語られます。この違いを理解すると、フランスワインのラベルを見るのが一気に楽しくなりますよ。

 

【イタリア・スペイン編】太陽の恵みを感じる!情熱の国のワインラベル解読術

 

フランスと並ぶワイン大国、イタリアとスペイン。どちらの国も太陽の恵みをいっぱいに受けた、陽気で美味しいワインがたくさんあります。ラベルのスタイルはフランスと似ている部分もありますが、独自の品質分類や熟成に関する規定があり、そこが読み解きの面白いポイントです。

 

多彩なブドウが魅力!「イタリアワイン」の法律とキーワード

 

イタリアは、北から南まで20州すべてでワインが造られており、登録されているだけでも数百種類もの土着ブドウ品種が存在する、まさに「ワインの多様性の宝庫」です。そんなイタリアワインを理解する上で欠かせないのが、フランスのAOPにあたる品質分類(ワイン法)です。

  1. 品質分類(D.O.C.G. / D.O.C.など)

    • ラベルの目立つ場所、特に首の部分(ネックラベル)に帯状のシールが貼られていることが多いです。上から順に厳しい基準が設けられています。

      • D.O.C.G. (Denominazione di Origine Controllata e Garantita):統制保証付原産地呼称。イタリアワインの最高ランク。国が品質を「保証」する、厳しい検査をクリアしたワインだけが名乗れます。有名な「バローロ」や「キャンティ・クラッシコ」などがこれにあたります。

      • D.O.C. (Denominazione di Origine Controllata):統制原産地呼称。フランスのAOPに相当するもので、産地やブドウ品種、製法などが定められています。イタリアワインの品質の根幹をなすカテゴリーです。

      • I.G.T. (Indicazione Geografica Tipica):地域特性表示ワイン。D.O.C.よりも広い地域で、より自由な製法で造られるワイン。中には、規定に縛られずに高品質なワインを造る「スーパートスカーナ」のように、D.O.C.G.ワインを凌ぐような素晴らしいワインも存在します。

      • Vino:特定の産地やブドウ品種、ヴィンテージの表示義務がない、最もシンプルなテーブルワイン。

  2. 覚えておきたいキーワード

    • イタリアワインのラベルには、味わいのヒントになるキーワードがいくつかあります。

      • Classico(クラッシコ):特定のD.O.C.やD.O.C.G.の産地の中でも、古くから伝統的にワインが造られてきた、中心的な優良地区で造られたワインに付けられます。例えば、「キャンティ」よりも「キャンティ・クラッシコ」の方が、より厳しい規定で造られた上質なワインとなります。

      • Riserva(リゼルヴァ):法律で定められた熟成期間よりも長く熟成させた、ワンランク上のワインに付けられます。「リゼルヴァ」と名乗るための熟成期間は産地ごとに異なりますが、通常のワインよりも深みと複雑さが増していることが多いです。

      • Superiore(スペリオーレ):通常のワインよりもアルコール度数が少し高く、より品質の良いブドウから造られていることを示します。

 

熟成が品質の証!「スペインワイン」の熟成表記をマスター

 

情熱の国スペインのワインは、パワフルで飲みごたえのある赤ワインが有名です。特にスペインワインのラベルで注目すべきは、「熟成期間」に基づいた独自の品質分類です。同じ生産者の同じワインでも、熟成期間によって名前と価格、そして味わいが変わってくるのが面白いところ。主に赤ワインに適用される、この熟成規定を覚えましょう。

  1. 熟成期間による分類

    • ラベルに書かれたこのキーワードを見れば、どれくらい熟成されているかが一目でわかります。

      • Gran Reserva(グラン・レセルバ):最も長い熟成を経た最高級品。最低でも計5年間(うち樽熟成18ヶ月以上、産地によっては24ヶ月以上)の熟成が義務付けられています。特別な年にしか造られず、複雑でエレガントな味わいが楽しめます。

      • Reserva(レセルバ):グラン・レセルバに次ぐ長期熟成タイプ。最低でも計3年間(うち樽熟成12ヶ月以上)の熟成が必要です。飲み頃を迎えた、バランスの良い味わいが魅力です。

      • Crianza(クリアンサ):比較的若い熟成タイプで、日常的に楽しむのに最適。最低でも計2年間(うち樽熟成6ヶ月以上、産地によっては12ヶ月以上)の熟成が規定されています。フレッシュな果実味と樽のニュアンスが楽しめます。

      • Joven(ホーヴェン)または Sin Crianza:樽熟成を行わないか、ごく短期間の熟成でリリースされる最も若いタイプ。フレッシュでフルーティーな味わいが特徴です。

  2. その他のキーワード

    • Bodega(ボデガ):ワインの醸造所を意味する言葉。フランスのシャトーやドメーヌにあたります。「ボデガス・○○」といった形で生産者名として使われます。

    • D.O.Ca. / D.O. / V.P.:スペインにもフランスやイタリアと同様の原産地呼称制度があります。最高ランクは「D.O.Ca. (Denominación de Origen Calificada)」で、現在は「リオハ」と「プリオラート」の2つの産地しか認められていません。その下に「D.O. (Denominación de Origen)」があり、近年ではD.O.Ca.よりもさらに厳しい基準を単一のワイナリーに適用する「V.P. (Vino de Pago)」という最高位の格付けも登場しています。

イタリアの「クラッシコ」や「リゼルヴァ」、スペインの「クリアンサ」や「レセルバ」。これらのキーワードを知っているだけで、味わいのスタイルを想像しながら、より自分の好みに合った一本を選べるようになりますね。

 

【ニューワールド編】ブドウ品種が主役!カリフォルニア・オーストラリアの親切なラベル

 

さて、ヨーロッパの伝統的なラベルの世界から、今度は太平洋を越えて新世界(ニューワールド)へと旅をしましょう。アメリカのカリフォルニアやオーストラリア、チリなどのワインラベルは、旧世界に比べて非常にシンプルで分かりやすいのが特徴です。ワイン初心者の方が最初に手に取るなら、新世界のワインが断然おすすめ。その理由を解き明かしていきましょう。

 

親切・丁寧!カリフォルニアワインの「ブドウ品種」が分かるラベル

 

アメリカワインの生産量の約9割を占めるカリフォルニア。そのラベルは、まさに「親切・丁寧」という言葉がぴったりです。

ラベルで最も大きく、目立つように書かれているのは、間違いなく「ブドウ品種名」です。「Cabernet Sauvignon」や「Chardonnay」、「Pinot Noir」といった文字が目に飛び込んでくるので、「今日はカベルネが飲みたいな」と思ったら、その名前を探すだけで簡単に見つけることができます。

カリフォルニアワインのラベルで確認したいポイントは以下の通りです。

  1. 生産者名(Winery Name)

    • ワインを造ったワイナリーの名前です。オーパス・ワンやスクリーミング・イーグルのような高級ワインから、日常的に楽しめるカジュアルなワインまで、様々な生産者がいます。

  2. ブドウ品種名(Variety)

    • ラベルに品種名が記載されている場合、そのブドウが75%以上(州によってはそれ以上)使用されている必要があります。複数の品種をブレンドしている場合は、「Meritage(メリタージュ)」のような独自のブレンド名が付けられていることもあります。

  3. 産地名(Appellation)

    • アメリカには「A.V.A. (American Viticultural Area)」という政府認定のブドウ栽培地域制度があります。フランスのAOPに似ていますが、A.V.A.はあくまで地理的な範囲を示すもので、ブドウ品種や製法に関する厳しい規定はありません。

    • 有名なA.V.A.には、「Napa Valley(ナパ・ヴァレー)」や「Sonoma Coast(ソノマ・コースト)」などがあります。産地が狭い範囲に限定されるほど、その土地の個性が反映された高品質なワインである傾向があります。

  4. ヴィンテージ(収穫年)

    • 温暖で天候が安定しているカリフォルニアでは、ヴィンテージによる品質の差はフランスほど大きくはありませんが、それでも年ごとの特徴は存在します。

 

オーストラリアやチリも分かりやすい!新世界共通のスタイル

 

オーストラリア、チリ、アルゼンチン、南アフリカ、ニュージーランドといった他の新世界諸国のワインも、基本的にはカリフォルニアと同じスタイルです。

  • ブドウ品種が主役:シラーズ(オーストラリア)、カルメネール(チリ)、マルベック(アルゼンチン)、ソーヴィニヨン・ブラン(ニュージーランド)など、それぞれの国を代表するブドウ品種がラベルに大きく書かれています。

  • 産地表示:オーストラリアの「バロッサ・ヴァレー」やチリの「マイポ・ヴァレー」など、国独自の産地表示制度があります。

  • 親切な裏ラベル:新世界のワインは、裏ラベルに日本語で味わいの特徴やおすすめの料理などが書かれていることが非常に多いです。これは初心者にとって、とても心強い情報源になります。

旧世界のワイン選びが「産地」という地図を読み解く冒険だとしたら、新世界のワイン選びは「ブドウ品種」というメニューから好きな料理を選ぶような感覚に近いかもしれません。どちらが良いというわけではなく、その日の気分や好みに合わせて、両方の世界のワインを楽しめるのが、現代のワインラヴァーの特権ですね。

 

ラベルに隠されたヒントを見つけよう!味わいを左右するその他の重要情報

 

これまで国ごとの大きな特徴を見てきましたが、実はどの国のワインラベルにも共通して書かれている、味わいを想像するための重要なヒントが隠されています。ワイン選びの精度をさらに上げるために、これらの細かな情報にも目を向けてみましょう。

 

ワインの生まれ年「ヴィンテージ(収穫年)」の重要性

 

ラベルに記載されている「2020」や「2018」といった4桁の数字。これはブドウが収穫された年を示す「ヴィンテージ」です。

特にフランスのボルドーやブルゴーニュのように、天候がブドウの出来を大きく左右する地域では、このヴィンテージがワインの品質や価格に絶大な影響を与えます。太陽に恵まれた素晴らしい年(グレートヴィンテージ)に造られたワインは、力強く、長期熟成にも耐えるポテンシャルを持ちます。逆に、雨が多かったり、冷夏だったりした年のワインは、繊細で早熟なスタイルになることがあります。

「でも、毎年の天候なんて覚えていられない…」という方もご安心を。スマートフォンで「ボルドー ヴィンテージチャート」のように検索すれば、産地ごとのヴィンテージ評価が簡単に見つかります。お店で迷った時にサッと調べて、「お、この年は当たり年だ!」なんて言いながら選ぶのも、ワイン選びの醍醐味の一つです。

 

味わいの濃淡を予測する「アルコール度数」

 

ラベルの片隅に小さく書かれている「Alc. 14.5% by vol.」のような表記。これはアルコール度数です。実はこの数字も、ワインの味わいを予測するヒントになります。

一般的に、ブドウはよく熟すと糖度が上がり、その糖が発酵によってアルコールに変わるため、アルコール度数が高いワインは、温暖な気候で育ったよく熟したブドウから造られていることが多いです。そして、そうしたワインは、果実味が豊かで、飲みごたえのある「フルボディ」なスタイルになる傾向があります。

逆に、アルコール度数が低め(例えば12%前後)のワインは、冷涼な産地で造られた、繊細で酸味が爽やかな「ライトボディ」や「ミディアムボディ」のスタイルであることが多いです。

もちろん例外はありますが、「しっかりした赤ワインが飲みたいな」と思ったらアルコール度数14%以上のものを、「軽やかな白ワインがいいな」と思ったら12.5%以下のものを探してみる、というのも一つの有効な選び方です。

 

ワインの品質は誰が保証する?「生産者」と「輸入元」

 

ワインは農産物であり、最終的な品質を決定づけるのは「誰が造ったか」という「生産者」の腕と哲学です。有名な生産者の名前をいくつか覚えておくと、ワイン選びで大きく失敗することは少なくなります。

そして、日本でワインを選ぶ上で意外と見過ごせないのが「輸入元(インポーター)」の存在です。裏ラベルを見てみてください。そこには必ず、このワインを日本に輸入した会社の名前が書かれています。

ワインは非常にデリケートな飲み物。生産国から日本に運ばれ、私たちの手元に届くまでの温度管理や輸送方法(リーファーコンテナを使っているかなど)によって、その品質は大きく左右されます。信頼できる輸入元は、生産者から最高の状態でワインを預かり、それを維持したまま日本の消費者まで届けるという、重要な役割を担っています。

いくつかの輸入元の名前と、その輸入元が得意とする国やスタイルを覚えておくと、「この輸入元のワインなら安心」という、自分なりの信頼の指標ができます。これも、宝探しを有利に進めるための秘密のヒントなのです。

 

まとめ:宝の地図を手に、自分だけのワインを見つける旅へ

 

まるで外国語の教科書のように見えたワインラベルも、一つ一つの言葉の意味を知ることで、驚くほど多くの情報を私たちに語りかけてくれる「宝の地図」に変わります。

旧世界(フランス、イタリアなど)のワインは、「産地(テロワール)」が主役。

「ブルゴーニュ」なら畑の格付け、「ボルドー」ならシャトーの格付けが品質の指標になります。

新世界(アメリカ、オーストラリアなど)のワインは、「ブドウ品種」が主役。

飲みたいブドウ品種が決まっていれば、簡単にお目当てのワインを見つけられます。

そして、ヴィンテージ、アルコール度数、生産者、輸入元といった共通の情報を組み合わせることで、そのワインが持つストーリーや味わいのスタイルを、飲む前からより深く想像することができるようになります。

もちろん、最初は覚えることが多くて大変に感じるかもしれません。でも、完璧に暗記する必要はないんです。この記事をブックマークしておいて、ワインショップで迷った時に「あれ、イタリアの最高ランクって何だっけ?」と見返すだけでも大丈夫。

大切なのは、ラベルに興味を持ち、「これは何だろう?」と一つでも多くの情報を読み取ろうとすること。その小さな一歩が、あなたをワインの奥深い世界へと導き、数多あるワインの中から「私のための1本」を見つけ出す最高のスキルになります。

さあ、あなたもこの宝の地図の読み方をマスターして、自分だけの特別なワインを見つける冒険に出かけてみませんか?次にお店に行ったら、ぜひ気になるボトルのラベルを手に取って、じっくりと眺めてみてください。きっと、以前とは全く違う景色が見えてくるはずです。その一本一本が、あなたに発見されるのを待っていますよ。

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