
こんにちは、CalivinoのManamiです。
ワインショップにずらりと並んだボトルたち。ラベルには「カベルネ・ソーヴィニヨン」や「シャルドネ」といったカタカナが並んでいるけれど、「一体何が違うの?」「どれを選べば自分の好みに合うんだろう?」と、途方に暮れてしまった経験はありませんか?
実は、何を隠そう私もそうでした。ワインを好きになり始めた頃、お洒落なワインショップの店員さんに「どんなワインがお好みですか?」と聞かれても、「えっと…赤くて、重すぎないやつ…?」なんて、あやふやな答えしかできなかったんです。まるで広大な海にコンパスも持たずに放り出されたような、心細い気持ちでした。
そんな私がワイン選びの迷子から抜け出せたきっかけ、それが「主要なブドウ品種の特徴を知る」ことでした。
ブドウ品種は、いわばワインの「性格」を決める設計図のようなもの。その品種が持つ個性さえ理解すれば、ラベルを見ただけで「これはきっと、力強くてスパイシーな味わいだな」「これは爽やかで、休日のランチにぴったりかも!」と、味の想像がつくようになるんです。それはまるで、信頼できる「ワインの世界の地図」を手に入れたような感覚でした。
この記事では、かつての私のようにワイン選びに悩んでいるあなたが、自信を持って自分だけの一本を選べるようになるための「完全マップ」をご用意しました。数あるブドウ品種の中から、これだけは押さえておきたい「主要6品種」を徹底的に、そしてどこよりも分かりやすく解説していきます。
この記事を読み終わる頃には、あなたはワインショップで迷うことなく、まるでソムリエのようにスマートにワインを選べるようになっているはず。そして、ワインとの出会いがもっともっと、心躍る楽しいものになることをお約束します。
さあ、一緒にワインの世界を探検する旅に出かけましょう!
ワインの世界への第一歩!ブドウ品種を知ることがなぜ大切なの?
ワインの味わいは、生産された土地の気候や土壌(テロワール)、造り手の哲学など、様々な要素が複雑に絡み合って生まれます。しかし、その中でも最も根本的で、ワインの個性を決定づけるのが「ブドウ品種」です。
例えるなら、りんごの「ふじ」と「ジョナゴールド」の味が違うように、コーヒー豆の「アラビカ種」と「ロブスタ種」で風味が全く異なるように、ワインもブドウ品種が違えば、香りも味わいも、そしてワインから受ける印象も全く別のものになります。
「カベルネ・ソーヴィニヨン」と聞けば、多くの人が力強く、しっかりとした赤ワインをイメージしますし、「ソーヴィニヨン・ブラン」と聞けば、ハーブのような爽やかな香りの白ワインを思い浮かべます。
つまり、ブドウ品種の特徴を理解することは、ワインのラベルに書かれた情報を解読し、そのボトルの中にどんな素敵な体験が詰まっているのかを読み解くための「鍵」を手に入れることと同じなのです。この鍵さえあれば、あなたのワイン選びは格段に楽になり、失敗もぐっと減るはずですよ。
味わいを決める「4つのものさし」を覚えよう
各ブドウ品種の解説に入る前に、ワインの味わいを表現する上で欠かせない「4つのものさし」を簡単にご紹介します。これを知っておくと、この後の説明がすっと頭に入ってきますよ。
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酸味 (Acidity)
ワインにフレッシュさや爽やかさ、キレを与える要素です。レモンや梅干しを食べた時にきゅっとなる、あの感覚。酸味がしっかりしていると、ワイン全体の味わいが引き締まります。
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タンニン (Tannin)
主に赤ワインに含まれる「渋み」のこと。ブドウの皮や種、梗(くき)に由来します。濃い紅茶を飲んだ時に、舌の上や歯茎がキュッと収斂するような感覚がタンニンです。ワインに骨格と複雑さ、そして長期熟成のポテンシャルを与えてくれます。
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ボディ (Body)
ワインを口に含んだ時の「飲みごたえ」や「重さ」のこと。アルコール度数や果実味の凝縮感によって決まります。水のように軽やかな「ライトボディ」、牛乳のようなコクのある「フルボディ」、その中間の「ミディアムボディ」があります。
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甘み (Sweetness)
ブドウ果汁に含まれる糖分が、発酵後もワインに残ることで感じられます。ほとんど糖分が残っていない「辛口(ドライ)」から、デザートのように甘い「甘口(スイート)」まで様々です。
この4つのものさしを頭の片隅に置きながら、いよいよ主要ブドウ品種の世界を覗いていきましょう!まずは赤ワインの代表格、3品種からです。
【赤ワインの王様】カベルネ・ソーヴィニヨン (Cabernet Sauvignon)
もし、赤ワインの世界に「王様」がいるとしたら、それは間違いなくカベルネ・ソーヴィニヨンでしょう。世界で最も広く栽培され、最も多くの人に愛されているこのブドウは、力強さ、気品、そして長期熟成のポテンシャルを兼ね備えています。
カベルネ・ソーヴィニヨンのプロフィール
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色調: 深いルビー色、ガーネット色
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味わいの特徴:
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香り: カシス、ブラックベリー、プラムなどの黒系果実、ミント、杉、ピーマン、熟成すると葉巻やなめし革の香りも。
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味わい: 豊富なタンニン、しっかりとした酸味、凝縮感のある果実味。
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ボディ: フルボディ
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どんな香りや味わい?
カベルネ・ソーヴィニヨンの最大の特徴は、そのパワフルな骨格です。口に含むと、ぎゅっと凝縮された黒い果実の風味が広がり、しっかりとしたタンニン(渋み)が舌の上で存在感を示します。若いカベルネ・ソーヴィニヨンは、このタンニンが少し荒々しく感じることもありますが、それこそが若さの証。熟成を経ることで、タンニンはビロードのようになめらかになり、ワインに複雑で深遠な奥行きを与えてくれます。
また、カベルネ・ソーヴィニヨンには「ピーマン」や「ミント」のような、少し青みがかったハーブの香り(メトキシピラジンという香り成分に由来します)が感じられるのも特徴です。これがワインに清涼感と複雑さを与え、ただ重いだけではない、洗練された印象を生み出しています。
おすすめの産地
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フランス、ボルドー地方:
言わずと知れたカベルネ・ソーヴィニヨンの故郷。特にジロンド川左岸のメドック地区やグラーヴ地区で、メルローなどとブレンドされて世界最高峰のワインが生まれます。冷涼な気候のため、果実味は控えめで、酸味とタンニンが際立つ、エレガントで骨格のしっかりしたスタイルが特徴です。
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アメリカ、カリフォルニア州(特にナパ・ヴァレー):
「ナパ・カベ」の愛称で知られる、ボルドーと並ぶ銘醸地。温暖な気候の恩恵を受け、完熟したカシスやブラックベリーのジャムのような、芳醇でパワフルな果実味が魅力。タンニンも力強いですが、果実味とのバランスが取れており、飲みごたえ抜群です。
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チリ、マイポ・ヴァレー:
「安くて美味しいカベルネ」の代名詞。太陽をたっぷり浴びて育ったブドウから、ジューシーな果実味と程よいタンニンを持つ、親しみやすいワインが造られます。コストパフォーマンスの高さは世界一と言っても過言ではありません。
最高の相棒!フードペアリング
カベルネ・ソーヴィニヨンの力強いタンニンは、お肉の脂分をさっぱりと洗い流し、旨味を引き立ててくれます。まさに「肉料理のためのワイン」と言えるでしょう。
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牛肉のステーキ(特に赤身肉)
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ラムチョップのグリル
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ビーフシチュー
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すき焼き
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熟成したハードタイプのチーズ(チェダー、パルミジャーノ・レッジャーノなど)
Manami's Tip:初心者が選ぶべきカベルネは?
初めてカベルネ・ソーヴィニヨンに挑戦するなら、私はチリ産のものをおすすめします。フランスのボルドー産は少し気難しく、タンニンが強く感じられることがありますが、チリ産は果実味が豊かで渋みが穏やかなものが多く、価格も2,000円前後で美味しいものが見つかります。「太陽の味がする!」と感じられるような、明るく親しみやすいキャラクターは、きっとカベルネ・ソーヴィニヨンの魅力をストレートに伝えてくれるはずです。
【優等生な実力派】メルロー (Merlot)
カベルネ・ソーヴィニヨンが「王様」なら、メルローは「頼れる宰相」といったところでしょうか。単体で主役を張れる実力を持ちながら、ブレンドでは他の品種の角を取り、全体をまろやかにまとめる協調性も兼ね備えた、まさに優等生的なブドウ品種です。
メルローのプロフィール
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色調: 紫がかったルビー色
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味わいの特徴:
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香り: ブラックチェリー、プラム、ラズベリーなどの熟した果実、チョコレート、コーヒー、ヴァニラ。
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味わい: なめらかなタンニン、豊かな果実味、まろやかな口当たり。
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ボディ: ミディアム〜フルボディ
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どんな香りや味わい?
メルローの魅力は、なんといってもその「口当たりの良さ」。カベルネ・ソーヴィニヨンに比べてタンニンが穏やかで、きめ細かいため、口に含んだ時の感触がとてもシルキーで、なめらかです。プラムやブラックチェリーを煮詰めたような、豊満でジューシーな果実味が口いっぱいに広がります。
その親しみやすさから「ワイン初心者におすすめの赤ワイン」として名前が挙がることが多いですが、決して単純なだけではありません。良質なメルローは、チョコレートやコーヒー、腐葉土のような複雑な香りを持ち、熟成によって驚くほどエレガントで深みのある味わいに変化します。
おすすめの産地
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フランス、ボルドー地方(特に右岸):
メルローの故郷であり、世界最高峰のメルローワインが生まれる場所。サン・テミリオン地区やポムロール地区では、メルローを主体としたワインが造られ、その豊潤で官能的な味わいは世界のワイン愛好家の憧れの的です。「シャトー・ペトリュス」という一本数10万円以上するワインも、このメルローから造られています。
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アメリカ、ワシントン州:
カリフォルニアに次ぐアメリカのワイン産地。日照時間は長いものの夜は冷涼なため、豊かな果実味とフレッシュな酸味を両立した、バランスの良いメルローが生まれます。
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イタリア、トスカーナ地方:
「スーパータスカン」と呼ばれる高級ワインの一部に、メルローが使われています。イタリアの太陽を浴びた、明るく凝縮感のある果実味が特徴です。
最高の相棒!フードペアリング
メルローのまろやかさは、幅広い料理と寄り添ってくれます。カベルネ・ソーヴィニヨンほどお肉の種類を選ばず、より家庭料理に合わせやすいのが嬉しいポイントです。
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ローストチキン、ローストポーク
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ハンバーグ(デミグラスソース)
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きのこのソテー
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ミートソースのパスタ
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カマンベールチーズ
Manami's Tip:「ボルドーブレンド」って何?
ワインショップでよく見かける「ボルドー」と書かれたワイン。その多くは、複数のブドウ品種をブレンドして造られています。そして、そのブレンドの主役となるのが、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローです。
一般的に、骨格がしっかりしてタンニンが豊富なカベルネ・ソーヴィニヨンに、果実味豊かでまろやかなメルローをブレンドすることで、それぞれの長所が引き立ち、よりバランスの取れた複雑な味わいのワインが生まれるのです。もしラベルに「カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー」と書かれていたら、それはお互いを高め合う、最高のパートナーシップの証だと思ってくださいね。
【繊細で気高い女王】ピノ・ノワール (Pinot Noir)
もし赤ワインに「女王」がいるとしたら、それはピノ・ノワールをおいて他にないでしょう。明るく淡い色調、華やかで複雑な香り、そしてシルクのようになめらかな口当たり。その繊細さと気品は、一度知ってしまうと誰もが虜になってしまう、魔力的な魅力を持っています。
ピノ・ノワールのプロフィール
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色調: 明るいルビー色、レンガ色
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味わいの特徴:
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香り: ラズベリー、ストロベリー、チェリーなどの赤系果実、バラ、紅茶、きのこ、森の下草。
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味わい: 豊かな酸味、控えめなタンニン、エレガントな果実味。
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ボディ: ライト〜ミディアムボディ
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どんな香りや味わい?
ピノ・ノワールをグラスに注ぐと、まずその淡く、透き通るような美しい色合いに驚かされるでしょう。そしてグラスを回すと、まるで摘みたてのラズベリーやチェリーをバスケットに詰め込んだような、甘酸っぱくチャーミングな香りが立ち上ります。
味わいは非常に繊細。タンニンは控えめで、口当たりは驚くほどなめらかです。しかし、ただ軽いだけでなく、しっかりとした酸味がワイン全体の輪郭を引き締め、エレガントな印象を与えています。熟成が進むと、紅茶やきのこ、森の下草を思わせるような複雑で官能的な香りが現れ、その奥深さに思わずため息が出てしまうほどです。
おすすめの産地
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フランス、ブルゴーニュ地方:
ピノ・ノワールの魂の故郷。世界で最も高貴で、最も高価なピノ・ノワールワインが生まれる場所です。「ロマネ・コンティ」を筆頭に、数々の伝説的なワインがこの地で造られています。ブルゴーニュのピノ・ノワールは、他のどの産地よりも複雑で、土地の個性を色濃く反映した味わいが特徴です。
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アメリカ、オレゴン州:
「ブルゴーニュのDNAを受け継ぐ」と評される、ニューワールドのピノ・ノワールの銘醸地。ブルゴーニュよりも少し果実味が豊かで親しみやすいですが、冷涼な気候由来の美しい酸味とエレガンスを兼ね備えています。
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ニュージーランド(特にセントラル・オタゴ、マールボロ):
凝縮した果実味と豊かな香りが特徴。熟したチェリーのような風味と、しっかりとした骨格を持つ、表現力豊かなピノ・ノワールが造られています。
最高の相棒!フードペアリング
繊細なピノ・ノワールには、同じく繊細で旨味のある料理がよく合います。牛肉よりも、鴨肉や鶏肉、きのこなどが最高のパートナーです。
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鴨肉のロースト(ベリーソース)
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鶏肉の赤ワイン煮込み(コック・オー・ヴァン)
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サーモンのポワレ
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きのこのリゾットやパスタ
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お醤油を使った和食(鶏の照り焼き、マグロのヅケなど)
Manami's Tip:ピノ・ノワールはなぜ高いの?
「ピノ・ノワールって、他のブドウ品種のワインより少し値段が高い気がする…」そう感じたことはありませんか?その理由は、ピノ・ノワールが非常に「気難しい」ブドウだからです。
果皮が薄く、病気にかかりやすい。暑すぎても寒すぎてもダメ。少しの気候の変動で品質が大きく左右されてしまう、栽培農家泣かせの品種なのです。その上、最高のピノ・ノワールができる土地は世界でもごく限られています。手間暇がかかり、収穫量も少ないため、どうしても価格が高くなってしまうのですね。その希少性と、他に代えがたい魅力が、世界中のワイン愛好家を惹きつけてやまない理由なのです。
さて、赤ワインの王様、優等生、そして女王をご紹介しました。次は、白ワインの世界を旅してみましょう!
【白ワインの女王】シャルドネ (Chardonnay)
白ワインの女王、シャルドネ。このブドウの最大の特徴は、カメレオンのように「変幻自在」であること。育った土地や造り手の哲学によって、驚くほど多彩な表情を見せてくれます。キリっと爽やかな辛口から、バターのようにリッチでクリーミーなものまで、シャルドネを知れば白ワインの楽しみ方が何倍にも広がります。
シャルドネのプロフィール
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色調: 淡いグリーンがかったイエローから、黄金色まで様々。
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味わいの特徴:
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香り: 【樽熟成なし】青リンゴ、レモン、グレープフルーツ、火打石。【樽熟成あり】パイナップル、黄桃、ヴァニラ、バター、トースト、ナッツ。
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味わい: 産地や製法により、シャープな酸味のものから、まろやかでコクのあるものまで。
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ボディ: ミディアム〜フルボディ
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どんな香りや味わい?
シャルドネの味わいを理解する上で最も重要なキーワードが「樽熟成」です。
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樽熟成なし(Unoaked):
ステンレスタンクで発酵・熟成させたスタイル。ブドウ本来の果実味がストレートに表現され、青リンゴや柑橘類のような、フレッシュでキリっとした酸味が特徴です。「シャブリ」に代表されるスタイルで、魚介類との相性は抜群です。
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樽熟成あり(Oaked):
オーク樽で発酵・熟成させたスタイル。樽由来のヴァニラやトースト、バターのような香ばしくクリーミーな風味が加わり、リッチで複雑な味わいになります。口当たりもまろやかで、飲みごたえのあるフルボディな白ワインに仕上がります。
この二つのスタイルを知るだけで、シャルドネ選びの精度が格段にアップしますよ。
おすすめの産地
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フランス、ブルゴーニュ地方:
シャルドネの故郷。冷涼な「シャブリ地区」では樽を使わないミネラル感豊かな辛口が、一方「コート・ド・ボーヌ地区(ムルソー、ピュリニー・モンラッシェなど)」では樽を使い、リッチで複雑な世界最高峰のシャルドネが生まれます。
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アメリカ、カリフォルニア州:
「カリ・シャル」の愛称で親しまれ、樽を効かせたリッチでクリーミーなスタイルで一世を風靡しました。完熟したトロピカルフルーツのような果実味と、バターやヴァニラの風味が特徴です。
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オーストラリア:
近年品質が向上し、冷涼な産地(ヤラ・ヴァレーなど)では、ブルゴーニュを彷彿とさせるエレガントなシャルドネも造られています。
最高の相棒!フードペアリング
変幻自在なシャルドネは、ペアリングの幅も非常に広いです。
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樽熟成なしのシャルドネ(シャブリなど):
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生牡蠣(レモンを絞って)
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お寿司、お刺身
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魚介のカルパッチョ
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樽熟成ありのシャルドネ:
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鶏肉や豚肉のクリーム煮
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グラタン、ドリア
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エビやカニのバターソテー
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意外にも、フライドチキンとも好相性!
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Manami's Tip:「樽熟成」と「樽なし」の見分け方
ラベルに「Oaked」「Unoaked」と書かれていることもありますが、一番分かりやすいのは産地で見分ける方法です。フランスの「シャブリ(Chablis)」と書かれていれば、ほぼ間違いなく樽なしのフレッシュなスタイル。一方で、ブルゴーニュの「ムルソー(Meursault)」やカリフォルニアのシャルドネは、樽熟成のリッチなスタイルが多いと覚えておくと良いでしょう。迷ったら店員さんに「これは樽を使っていますか?」と聞くのが一番確実です!
【爽やかさの代名詞】ソーヴィニヨン・ブラン (Sauvignon Blanc)
ソーヴィニヨン・ブランは、その名の通り「野性的な(Sauvage)白(Blanc)」ブドウ。グラスに注いだ瞬間、あたりに広がる清涼感あふれるハーブや柑橘の香り。一口飲めば、きりりとした酸味が駆け抜ける、これ以上ないほど爽快な白ワインです。気分をリフレッシュしたい時、晴れた日のランチに、最高の相棒となってくれます。
ソーヴィニヨン・ブランのプロフィール
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色調: グリーンがかった淡いイエロー
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味わいの特徴:
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香り: グレープフルーツ、ライム、パッションフルーツ、青草、ハーブ、ピーマン。
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味わい: シャープで豊富な酸味、軽快な口当たり、ミネラル感。
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ボディ: ライト〜ミディアムボディ
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どんな香りや味わい?
ソーヴィニヨン・ブランの香りは非常に個性的で、一度覚えたら忘れることがありません。まるで刈りたての芝生や、ちぎったばかりのハーブのような、グリーンで清々しいアロマが特徴です。そこに、グレープフルーツやライムの皮をきゅっと搾ったような、爽快な柑橘系の香りが加わります。
味わいは、なんといってもそのシャープな酸味。口に含むと、背筋が伸びるようなフレッシュさが広がり、後味はドライで非常にクリーンです。暑い夏の日、キリっと冷やしたソーヴィニヨン・ブランを飲む瞬間は、まさに至福のひとときです。
おすすめの産地
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フランス、ロワール地方:
ソーヴィニヨン・ブランの古典的な産地。「サンセール」や「プイィ・フュメ」が有名です。ここでは、火打石を叩いた時のようなスモーキーな香り(フュメ香)と、硬質なミネラル感が特徴のエレガントなワインが生まれます。
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ニュージーランド、マールボロ地方:
ソーヴィニヨン・ブランの人気を世界的なものにした立役者。ロワールに比べて、パッションフルーツやグァバのような、トロピカルで華やかな香りが前面に出ています。その分かりやすい美味しさで、世界中を席巻しました。
最高の相棒!フードペアリング
そのハーブのような香りと高い酸味は、料理の臭みを消したり、味わいを引き締めたりする効果があります。特に、ハーブや柑橘類を使った料理とは相性抜群です。
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ヤギのチーズ(シェーヴル)を使ったサラダ
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白身魚のカルパッチョ(ハーブとオリーブオイルで)
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アスパラガスのグリル
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天ぷら(特に野菜や白身魚)
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ハーブを効かせた鶏肉料理
Manami's Tip:産地でこんなに違う!フランス産 vs ニュージーランド産
同じソーヴィニヨン・ブランでも、フランスのロワール産とニュージーランド産では、驚くほどキャラクターが異なります。
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ロワール産: ドライでミネラリー。ハーブや柑橘の香りは控えめで、上品。「和服を着た知的な女性」のようなイメージ。
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ニュージーランド産: フルーティーで華やか。パッションフルーツの香りが全開。「太陽の下で笑う元気な女の子」のようなイメージ。
どちらが良いというわけではなく、好みや気分、合わせる料理によって選ぶのがおすすめです。ぜひ飲み比べて、その違いを楽しんでみてください!
【甘口から辛口まで変幻自在】リースリング (Riesling)
リースリングは、ドイツを故郷とする高貴な白ブドウ品種。鋭い酸味と、りんごや白い花を思わせる繊細なアロマが特徴です。そして何より、極上の辛口から、蜜のように甘い貴腐ワインまで、驚くほど幅広いスタイルのワインが造られるのが最大の魅力。食わず嫌いはもったいない、知れば知るほど奥深い品種です。
リースリングのプロフィール
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色調: グリーンがかった淡いイエローから、熟成すると黄金色に。
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味わいの特徴:
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香り: 青リンゴ、ライム、白桃、白い花、蜂蜜。熟成すると石油(ペトロール)のような独特の香りも。
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味わい: 非常にシャープで豊かな酸味、透明感のある果実味。甘口から辛口まで。
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ボディ: ライト〜ミディアムボディ
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どんな香りや味わい?
リースリングの魂は、その「高い酸味」にあります。このキリっとした酸味があるからこそ、甘口のリースリングも決してベタつかず、上品でエレガントな味わいになるのです。若いリースリングは、青リンゴや洋梨のようなフレッシュな果実の香りが主体ですが、熟成能力が非常に高く、時を経ると蜂蜜や、驚くことに「石油(ペトロール)」と表現される、独特で複雑な香りを放ちます。この香りが現れたら、それは上質なリースリングが飲み頃を迎えたサインです。
おすすめの産地
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ドイツ:
リースリングの故郷であり、最も偉大なリースリングを生み出す国。モーゼル、ラインガウといった地域が有名で、ブドウの糖度によって厳格な格付けがされています。
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フランス、アルザス地方:
ドイツと国境を接する地域。ドイツ産に比べて、より辛口で、アルコール度数が高く、骨格のしっかりしたリースリングが造られます。
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オーストラリア、クレア・ヴァレー、イーデン・ヴァレー:
温暖なオーストラリアの中でも、冷涼なこれらの地域では、ライムのような柑橘系の風味が際立つ、極辛口で高品質なリースリングが造られています。
最高の相棒!フードペアリング
リースリングの酸味と、ほのかな甘み(スタイルによります)は、スパイシーな料理や少し甘みのあるアジア料理と素晴らしい相性を見せます。
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タイ料理(グリーンカレー、トムヤムクンなど)
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ベトナム料理(生春巻きなど)
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中華料理(甘酢を使ったもの)
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豚肉料理(特にソーセージやハム)
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エスニックな味付けのサラダ
Manami's Tip:ラベルで甘口・辛口を見分けるコツ
特にドイツワインで迷うのが甘辛度。ラベルに注目してみましょう。
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Trocken (トロッケン): 「辛口」の意味。これがあれば安心。
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Kabinett (カビネット), Spätlese (シュペートレーゼ): これらはブドウの収穫時の糖度を表す等級。甘口〜やや甘口が多いですが、辛口(Trocken)に仕立てられている場合もあります。
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アルコール度数: ラベルのアルコール度数が8%〜9%程度と低ければ、糖分がアルコールに変わりきらずに残っている「甘口」の可能性が高いです。11%以上あれば「辛口」のことが多いです。
あなたにピッタリなのはどれ?ブドウ品種選び方チャート
さて、6つの主要品種を旅してきました。ここで、今のあなたの気分にぴったりのブドウ品種がわかる、簡単なチャートをご用意しました。ワイン選びの参考にしてみてくださいね。
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しっかりとした赤ワインで、お肉料理を楽しみたい!
→ カベルネ・ソーヴィニヨン
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まろやかで飲みやすい赤ワインで、リラックスしたい気分。
→ メルロー
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エレガントで繊細な味わいの赤ワインを、じっくり楽しみたい。
→ ピノ・ノワール
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魚介類と合わせて、キリっと爽やかな白ワインが飲みたい!
→ ソーヴィニヨン・ブラン or シャルドネ(樽なし)
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クリーミーでコクのある白ワインで、満足感に浸りたい。
→ シャルドネ(樽あり)
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スパイシーなアジア料理と合わせて、新しい発見をしたい!
→ リースリング
まとめ:ブドウ品種を知れば、ワイン選びはもっと楽しくなる!
ここまで、赤ワイン3種、白ワイン3種の主要なブドウ品種について、その特徴や味わいを巡る旅をしてきました。
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カベルネ・ソーヴィニヨン: 力強いタンニンと骨格を持つ「赤ワインの王様」
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メルロー: なめらかで親しみやすい「優等生」
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ピノ・ノワール: 繊細で華やかな香りの「気高い女王」
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シャルドネ: 樽の有無で表情を変える「白ワインの女王」
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ソーヴィニヨン・ブラン: ハーブの香りが爽快な「爽やかさの代名詞」
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リースリング: 甘口から辛口までこなす「変幻自在な高貴な品種」
いかがでしたでしょうか?最初は呪文のように聞こえたカタカナの羅列も、今ではそれぞれの「顔」や「性格」が思い浮かぶようになっているのではないでしょうか。
もちろん、ワインの世界はもっともっと広く、深く、ここにご紹介した以外にも数えきれないほどの魅力的なブドウ品種が存在します。しかし、まずはこの「6つの基準点」をしっかりと押さえることが、その広大な世界を迷わずに旅するための、何よりの羅針盤になります。
このブドウ品種マップを手にすれば、もうワインショップで気後れする必要はありません。ラベルを見て、「これはフランスのピノ・ノワールだから、繊細な味わいかな。鴨肉料理に合わせてみよう」「今日は暑いから、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランでスッキリしたいな」と、自由に、そして主体的にワインを選べるようになります。
ワイン選びは、決して難しいお勉強ではありません。自分の「好き」を見つけるための、宝探しのような楽しい冒険です。
今度ワインショップに行ったら、ぜひこのマップを思い出して、今まで飲んだことのないブドウ品種に挑戦してみてくださいね。そして、あなたが体験した素敵なワインとの出会いを、ぜひコメントで教えていただけたら嬉しいです!
あなたのワインライフが、今日からもっと色鮮やかで、豊かなものになりますように。