
こんにちは、CalivinoのManamiです。
ワインの世界には、誰もが一度は耳にし、憧れを抱くスターのような存在がいくつかあります。フランス・ロマネコンティ、ボルドーの五大シャトー、そして…カリフォルニアの「オーパスワン(Opus One)」。
私がワインに夢中になるきっかけは、実はこのオーパスワンへの漠然とした憧れでした。ワイン雑誌を開けば、常に最高峰として紹介され、その美しいボトルと佇まいは、まるで手の届かない芸術品のよう。いつか、人生の特別な瞬間にこのワインを開けてみたい…そんな夢を抱いていたのです。
その夢が叶ったのは、忘れもしない30歳の誕生日。奮発してパートナーが用意してくれたのは、なんとオーパスワンでした。ボトルを目の前にした時の高揚感と、グラスに注がれる深いガーネット色に吸い込まれるような感覚。そして、グラスを鼻に近づけた瞬間に広がる、カシスやブラックベリー、バラの花、杉の木、葉巻…次から次へと現れる複雑で官能的な香りに、飲む前から完全に心を奪われました。
一口含んだ時の衝撃は、今でも鮮明に覚えています。力強いのに、どこまでも滑らか。豊かな果実味と、きめ細かなタンニン、美しい酸が見事に調和し、ベルベットのような液体が喉を通り過ぎていく。余韻はどこまでも長く、エレガントで…。これはただの「美味しいワイン」ではない。哲学、歴史、そして芸術が詰まった「作品」なのだと、心の底から感動しました。
オーパスワンは、なぜこれほどまでに人々を魅了するのでしょうか?なぜ「カリフォルニアの奇跡」とまで呼ばれるのでしょうか?
この記事では、かつての私のようにオーパスワンに強い憧れを抱いているあなたへ、その誕生の物語から、味わいの秘密、価格の理由、そして最高の楽しみ方まで、私の体験も交えながら、その魅力のすべてを解き明かしていきます。
この記事を読み終える頃には、オーパスワンが単なる高級ワインではなく、なぜ唯一無二の存在なのかを深く理解し、あなた自身の特別な物語を、このワインと共に紡ぎたくなるはずです。さあ、カリフォルニアが生んだ至高の芸術品の世界へ、一緒に旅立ちましょう。
ステップ1:オーパスワンとは何者か?~カリフォルニアが生んだ奇跡の物語~
オーパスワンを知ることは、単に一つのワイン銘柄を知ることではありません。それは、ワインの歴史における一つの革命、そして二人の偉大な男の夢の物語を知ることです。
### 「作品番号1番」に込められた意味。オーパスワン誕生の歴史
オーパスワン(Opus One)という名前は、クラシック音楽の用語で**「作品番号1番」を意味します。これは、「一つの交響曲、一本のワイン」**という哲学のもと、二人の巨匠が初めて共同で手掛けた最高傑作であることを示しています。
その二人の巨匠とは、
-
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵:
フランス・ボルドーメドック格付け第一級、「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」の当主。ボルドーワインの品質向上と改革に生涯を捧げた、旧世界を代表する偉大な人物。
-
ロバート・モンダヴィ氏:
「カリフォルニアワインの父」と称される、新世界を代表するカリスマ。カリフォルニア・ナパヴァレーのポテンシャルを信じ、その品質を世界レベルにまで引き上げた最大の功労者。
この二人が初めて出会ったのは1970年のこと。異なる大陸でワイン造りの頂点を極めた二人は、意気投合します。「旧世界(フランス)が持つ伝統と格式」と、「新世界(カリフォルニア)が持つ革新性と豊かな自然」。この二つを融合させれば、これまで誰も成し得なかった、唯一無二の偉大なワインが生まれるはずだ――。
この壮大な夢を実現すべく、プロジェクトは極秘裏にスタートしました。そして1979年、ついに記念すべきファーストヴィンテージが誕生。1984年にリリースされると、当時としては異例の1本50ドルという高値で売り出され、世界中のワイン市場に衝撃を与えました。
フランスの伝統的なワイン造りの哲学と、カリフォルニア・ナパヴァレーの理想的なテロワール(ブドウ栽培の自然環境)が見事に融合したオーパスワンは、カリフォルニアワインの品質と地位を不動のものとし、まさに歴史を変える「作品番号1番」となったのです。
### なぜオーパスワンはこれほど高価なのか?価格を決定づける5つの理由
オーパスワンの価格は、最新のヴィンテージでも1本あたり7万円~10万円、評価の高いバックヴィンテージになれば数十万円にもなります。なぜ、これほどまでに高価なのでしょうか?その理由は、単に「美味しいから」だけではありません。
理由1:二人の巨匠のブランド価値と哲学
前述の通り、オーパスワンはワイン界の二人のレジェンドが生み出した夢の結晶です。その名前には、単なるワイン以上の、歴史的な価値とストーリーが付加されています。この絶対的なブランド力が、価格の基盤となっています。
理由2:最高のブドウを育てるための徹底した畑仕事
オーパスワンは、ナパヴァレーの中でも特に銘醸地として知られる「オークヴィル」にある、4つの自社畑のブドウのみを使用します。土壌分析から栽培、灌漑に至るまで、全てが区画ごとに徹底的に管理されています。サステナブル農法を実践し、収穫はすべて手摘み。時には、同じ区画を何度も繰り返し、最適な熟度に達した房だけを収穫することもあるといいます。この一切の妥協を許さない畑仕事が、コストに反映されるのです。
理由3:妥協なき醸造プロセス
収穫されたブドウは、まず人の手と光学式選果台によって、未熟な粒や傷のある粒が徹底的に取り除かれます。醸造も重力を利用してブドウにストレスをかけないグラヴィティ・フローシステムを導入するなど、最新鋭の設備と伝統的な手法を融合。最高のブドウから、そのポテンシャルを最大限に引き出すための投資は惜しみません。
理由4:世界的な需要と希少性
オーパスワンの品質と名声は世界中に轟いており、その需要は年々高まっています。しかし、生産量は限られており、毎年約25,000ケース前後。この圧倒的な需要と供給のアンバランスが、市場価格を押し上げる大きな要因となっています。
理由5:ヴィンテージによる付加価値と投資対象としての側面
ワインは農産物であるため、ヴィンテージ(収穫年)によって出来が異なります。特に評価の高い「当たり年」のオーパスワンは、時間の経過と共に希少価値が増し、価格が上昇します。そのため、近年ではワイン愛好家だけでなく、投資家からも注目を集めるようになり、その価値をさらに高めています。
これらの理由が複雑に絡み合い、オーパスワンは単なる嗜好品ではなく、資産価値を持つほどの特別な存在となっているのです。
### ボルドーともカリフォルニアとも違う、唯一無二の「オーパスワン・スタイル」
では、その味わいは具体的にどのようなものなのでしょうか。オーパスワンのスタイルは、ボルドーワインとも、典型的なカリフォルニアワインとも一線を画す、まさに唯一無二のものです。
-
ボルドーの骨格:
シャトー・ムートン・ロスチャイルドに代表される、ボルドー左岸のトップシャトーが持つような、エレガンス、複雑さ、そして長期熟成能力。しっかりとした酸と、きめ細かくも力強いタンニンが、ワインに美しい骨格を与えています。
-
カリフォルニアの豊かさ:
ロバート・モンダヴィが追求した、カリフォルニアの太陽をたっぷりと浴びたブドウがもたらす、完熟した黒系果実(カシス、ブラックチェリー、プラム)の凝縮したフレーバーと、パワフルさ。
この二つの要素が、まるでパズルのピースがはまるように完璧に融合しています。口に含むと、まずカリフォルニアらしい豊かな果実味が口いっぱいに広がりますが、決して甘ったるく大味な印象にはなりません。その奥には、ボルドーワインのような気品と複雑さが控えており、しっかりとした構造が味わいを下支えしています。
専門家は、その滑らかな口当たりを「継ぎ目のない(シームレス)」と表現します。力強いのに、どこまでも優雅。若いうちから楽しむこともでき、かつ長期熟成によってさらなる深みを増していく。この究極のバランスこそが、世界中のワインラヴァーを虜にする「オーパスワン・スタイル」なのです。
ステップ2:オーパスワンの味わいを紐解く~ヴィンテージごとの個性と飲み頃~
オーパスワンの基本的なスタイルを理解したところで、次はその味わいを構成する要素や、年ごとの違い、そして最も気になる「飲み頃」について、さらに深く掘り下げていきましょう。
### オーパスワンの味わいの特徴は?主要ブドウ品種を解説
オーパスワンは、ボルドーの伝統にならい、複数のブドウ品種をブレンドして造られます。これを**「ボルドー・ブレンド」**と呼びます。主体となるのは、常に「カベルネ・ソーヴィニヨン」です。
-
カベルネ・ソーヴィニヨン (主体品種、例年70~80%):
ワインに骨格、力強さ、そして長期熟成能力を与える最も重要な品種。カシスやブラックベリーのような黒系果実の香りと、豊富なタンニンが特徴です。オーパスワンの威厳と気品は、この品種に由来します。
-
メルロ (5~10%):
ワインに豊満さ、柔らかさ、そしてプラムのようなジューシーな果実味を与えます。力強いカベルネ・ソーヴィニヨンのタンニンを和らげ、味わいをまろやかにする役割を担います。
-
カベルネ・フラン (5~10%):
スミレの花やハーブのような華やかな香りを加え、ワインに複雑さとエレガンスをもたらします。
-
プティ・ヴェルド (~5%):
濃い色調と、力強いタンニン、そしてスパイシーな風味を与え、ワインに深みとアクセントを加えます。
-
マルベック (~5%):
こちらも濃い色調と、熟した果実味、そして柔らかな口当たりをもたらします。
これらのブドウ品種のブレンド比率は、その年のブドウの出来栄えによって毎年変わります。醸造チームが、それぞれのキュヴェ(樽ごとのワイン)を何度もテイスティングし、「オーパスワン」という一つの作品として最も完璧な調和を生み出す、黄金の比率を導き出すのです。
### あなたはどの年に出会いたい?オーパスワンの当たり年(グレートヴィンテージ)
オーパスワンの価値と味わいは、ヴィンテージによって大きく異なります。ここでは、特に評価が高く、ワイン史に残るとされる「当たり年」をいくつかご紹介します。
近年のグレートヴィンテージ例
2019年: 最新の傑作ヴィンテージの一つ。凝縮した果実味とフレッシュな酸、洗練されたタンニンのバランスが素晴らしく、若いうちから魅力が分かりやすい一方、長期熟成のポテンシャルも非常に高いと評価されています。
2018年: エレガンスとフィネスが際立つヴィンテージ。クラシックなボルドーを彷彿とさせるスタイルで、華やかなアロマと絹のような舌触りが特徴です。
2016年: 力強さと凝縮感、そしてエレガンスを兼ね備えた、ほぼ完璧に近いと評されるヴィンテージ。非常にバランスが取れており、今後数十年にわたる熟成が期待されます。
2013年: カリフォルニアにとって歴史的なグレートヴィンテージ。圧倒的なパワーと果実の凝縮感を持ち、評論家から100点満点を獲得した伝説的な年。真価を発揮するまでには、まだ長い時間が必要です。
伝説のオールドヴィンテージ
1997年、2005年、2007年、2010年なども、非常に評価の高いヴィンテージとして知られています。
自分の生まれ年や、結婚記念日などの特別な年のオーパスワンが、どのような評価を受けているかを調べてみるのも楽しいですよ。ただし、オフ・ヴィンテージ(天候に恵まれなかった年)だからといって、美味しくないわけではありません。オーパスワンの技術力をもってすれば、難しい年でもエレガントで素晴らしいワインが生まれます。むしろ、そうした年のワインの方が早くから飲み頃を迎え、価格も比較的落ち着いていることがあります。
### オーパスワンの「飲み頃」はいつ?最高のタイミングを見極める
オーパスワンを手に入れた人が、最も悩むのがこの「飲み頃」問題でしょう。高価なワインだからこそ、最高のタイミングで開けたいですよね。
オーパスワンの飲み頃は、大きく二つのステージに分けられます。
-
第1ステージ:若いうちの魅力(リリース後~10年未満)
この時期のオーパスワンは、とにかくパワフル。凝縮されたカシスやブラックベリーのフレッシュで豊かな果実味が前面に出ており、タンニンも力強く感じられます。この若々しいエネルギーに満ちた味わいが好き、という方も少なくありません。もしこの時期に開けるのであれば、数時間前のデキャンタージュ(後述)をおすすめします。ワインが空気に触れることで、硬さがほぐれ、香りも開きやすくなります。
-
第2ステージ:熟成による魅力(リリース後10年~)
オーパスワンの真価が発揮されるのが、この熟成期です。
-
香り: 若い頃の果実の香りは落ち着き、ドライフルーツ、紅茶、なめし革、腐葉土、葉巻、スパイスといった、複雑で官能的な**「ブーケ」**が花開きます。
-
味わい: あれほど力強かったタンニンは、長い年月を経てワインに溶け込み、驚くほど滑らかで、ベルベットのような舌触りに変化します。酸もまろやかになり、全ての要素が完璧に統合された、深遠な味わいへと進化します。
-
一般的に、オーパスワンが飲み頃のピークを迎えるのは、ヴィンテージから15年~25年後あたりと言われています。もちろん、2013年のようなパワフルなヴィンテージは、30年、40年以上の熟成にも耐えうるポテンシャルを持っています。
いつ開けるかに正解はありません。若々しい果実味を楽しむか、熟成による複雑なブーケを楽しむか。それは、あなたの好み次第です。
ステップ3:最高のオーパスワン体験を手に入れるために~購入から抜栓まで~
さあ、いよいよオーパスワンを手に入れるための実践的なステップに進みましょう。高価な買い物だからこそ、信頼できる場所で購入し、万全の準備でその日を迎えたいものです。
### どこで買うのが正解?信頼できるオーパスワンの購入方法
オーパスワンは、その人気と価格から、残念ながら偽物も出回っています。最高の体験のためには、**「どこで買うか」**が非常に重要になります。
-
正規代理店(日本ではエノテカ株式会社):
最も安心できる購入方法です。ワイナリーから日本の倉庫まで、定温・定湿の完璧な状態で輸送・保管されており、品質は折り紙付き。エノテカのオンラインショップや実店舗で購入できます。
-
大手百貨店のワイン売り場:
こちらも信頼性は抜群です。ソムリエなどの専門スタッフに相談しながら購入できるのも大きなメリット。ギフト用のラッピングも充実しています。
-
信頼できるワイン専門店:
長年の実績があるワイン専門店も良い選択肢です。特に、バックヴィンテージ(過去のヴィンテージ)を探している場合、専門店ならではの品揃えが見つかることがあります。お店の評判や、ワインの保管状態(セラー管理が徹底されているか)をしっかり確認しましょう。
-
実績のあるオンラインショップ:
楽天やYahoo!ショッピングなどにも多くの出品がありますが、ショップの評価やレビューを必ず確認してください。「定温(クール)便」での配送に対応していることは絶対条件です。価格が相場より著しく安い場合は、注意が必要です。
価格の相場観(2025年現在目安):
-
最新ヴィンテージ(2019年、2020年など): 7万円~10万円
-
評価の高いバックヴィンテージ(2013年、2016年など): 12万円~20万円以上
-
古いヴィンテージ(1990年代など): 状態や評価によって大きく変動しますが、15万円以上が一般的です。
### 要注意!高価なワインだからこそ知っておきたい偽物の見分け方
万が一にも偽物を掴まないために、基本的なチェックポイントを知っておきましょう。
-
ラベル: 本物のラベルは、高品質な紙に精巧に印刷されており、独特の質感があります。印刷に滲みやズレがないか、フォントが不自然でないかを確認します。
-
キャップシール: ボトルの口を覆うキャップシールも、精巧に作られています。継ぎ目が不自然だったり、質感が安っぽかったりする場合は要注意です。近年では、偽造防止のICタグがシール内に埋め込まれています。
-
シリアルナンバー: 近年のボトルには、偽造防止のためのシリアルナンバーが記載されています。
-
液面の高さ: 古いヴィンテージの場合、液面が極端に下がっていないか(ウラージュが大きすぎないか)もチェックポイントです。
とはいえ、素人が精巧な偽物を見抜くのは困難です。最大の防御策は、前述したような信頼できる購入先を選ぶことに尽きます。個人売買や、信頼性の低いオークションサイトでの購入は、リスクが高いことを覚えておきましょう。
### いざ、開封の儀。オーパスワンを最高の状態で味わうための抜栓とデキャンタージュ
オーパスワンを開ける日は、一つのイベントです。最高の状態で味わうために、いくつかの準備をしましょう。
-
準備:
購入後、すぐに飲まない場合は必ずワインセラーで保管してください。飲む日が決まったら、最低でも2~3日前からはボトルを立てて、涼しく静かな場所に置きましょう。これにより、瓶内に生じた澱(おり)が瓶の底に沈殿します。
-
抜栓:
若いヴィンテージであれば、通常のソムリエナイフで問題なく開けられます。もし20年、30年と熟成したオールドヴィンテージを開ける場合は、コルクがもろくなっている可能性があるため、コルクを壊さずに抜ける**「プロングオープナー(2枚刃オープナー)」**の使用を検討すると、より安心です。
-
デキャンタージュは必要か?
ワインをデキャンタに移し替える「デキャンタージュ」は、オーパスワンのポテンシャルを引き出すための重要なステップですが、ヴィンテージによってその目的と方法が異なります。
-
若いヴィンテージ(~10年熟成)の場合:
目的は「ワインを空気に触れさせ、硬さをほぐし、香りを開かせること」。飲む1~2時間前にデキャンタージュするのがおすすめです。力強いタンニンがまろやかになり、閉じている香りが華やかに開きます。
-
熟成したヴィンテージ(20年熟成~)の場合:
目的は「澱を取り除くこと」。熟成したワインの繊細なブーケは、過度に空気に触れさせると飛んでしまう危険性があります。そのため、デキャンタージュは飲む直前に、澱が入らないようにそっと上澄みだけを移すか、あるいはデキャンタージュはせず、ボトルから直接、澱が入らないようにゆっくりとグラスに注ぐのが良いでしょう。
-
この開封までのプロセスも、オーパスワン体験の一部。ぜひ焦らず、丁寧に向き合ってみてください。
ステップ4:オーパスワンのポテンシャルを120%引き出すペアリングと楽しみ方
最高の状態でボトルを開けたら、いよいよ至福のテイスティングタイムです。そのポテンシャルを最大限に引き出すための、グラスや料理についてご紹介します。
### グラス選びが運命を分ける。オーパスワンに最適なグラスとは?
オーパスワンを飲むなら、グラスには絶対にこだわってください。小さなグラスで飲んでしまうと、その複雑で豊かな香りを全く感じることができず、本当にもったいないことになります。
選ぶべきは、「大ぶりのボルドータイプ」のグラスです。
-
大きなボウル: グラスの中でワインが空気に触れる面積が広くなり、複雑なアロマが開きやすくなります。
-
チューリップ型: 飲み口が少しすぼまっていることで、立ち上った香りをグラスの中に留め、鼻先へと効率的に導いてくれます。
-
薄い飲み口: ワインがスムーズに舌の上に流れ込み、繊細な舌触りを感じやすくなります。
リーデル社の「ヴェリタス」や「ソムリエ」シリーズ、ザルト社の「ボルドー」などが有名ですが、高価なものでなくても、大きめのボルドーグラスを用意するだけで、体験の質は劇的に向上します。ぜひ、最高の舞台をオーパスワンのために用意してあげてください。
### 王者のための食卓。オーパスワンに合わせたい至高のペアリング
オーパスワンはそのままでも十分に完成された「作品」ですが、素晴らしい料理と合わせることで、さらなる高みへと昇華します。ペアリングの基本は、**「ワインの複雑な風味を邪魔せず、その力強さとエレガンスに寄り添う」**ことです。
-
王道のペアリング:最高級ビーフのシンプルなステーキ
これ以上の組み合わせはない、と言われるほどの鉄板ペアリングです。厚切りのサーロインやフィレ肉を、上質な塩と胡椒だけでシンプルに焼き上げたステーキ。肉の旨味と脂が、オーパスワンの力強いタンニンと結びつくことで、口の中で見事な調和を生み出します。タンニンが肉の脂をさっぱりとさせ、肉の旨味がワインの果実味をさらに引き立てる、完璧なマリアージュです。
-
その他のおすすめペアリング:
-
仔羊のロースト 香草風味: 仔羊特有の風味と、ローズマリーなどのハーブの香りが、オーパスワンの持つ複雑なアロマと同調します。
-
牛ホホ肉の赤ワイン煮込み: 濃厚なデミグラスソースを使った煮込み料理も、ワインの力強さとよく合います。
-
熟成したハードタイプのチーズ: コンテやパルミジャーノ・レッジャーノなど、旨味の凝縮した長期熟成チーズは、ワインの余韻をさらに長く楽しませてくれます。
-
-
避けるべきペアリング:
繊細な魚介類や和食、唐辛子やスパイスが効きすぎた料理、酸味の強いトマトソースなどは、オーパスワンの持つ複雑な風味を打ち消してしまう可能性があるため、避けた方が無難です。主役はあくまでオーパスワン。料理は、その王者に敬意を払う、最高の引き立て役であるべきです。
### オーパスワン・セカンド「オーヴァーチュア」という選択肢
「いきなりオーパスワンはハードルが高い…」と感じる方や、もっと気軽にオーパスワンの世界観に触れてみたい、という方におすすめなのが、セカンドワインの**「オーヴァーチュア(Overture)」**です。
オーヴァーチュアとは?
音楽用語で「序曲」を意味します。オーパスワンの厳しい選果基準に満たなかったキュヴェや、若木のブドウから造られたキュヴェなどをブレンドして造られる、ノン・ヴィンテージ(複数の収穫年のワインをブレンド)のワインです。
オーパスワンと同じ畑、同じ醸造チームによって造られており、その品質は折り紙付き。オーパスワンが持つエレガンスや複雑さの片鱗を、十分に感じ取ることができます。
オーパスワンとの違い:
-
価格: 3万円前後と、オーパスワンの半額以下で購入できます。
-
飲み頃: 複数のヴィンテージをブレンドしているため、若いうちからバランスが取れており、リリース直後から楽しめます。
-
スタイル: オーパスワンよりも柔らかく、親しみやすいスタイルです。
「序曲」を聴いてから、メインの「交響曲(オーパスワン)」を聴く。そんな楽しみ方も、非常に贅沢で素敵な体験ではないでしょうか。
ステップ5:知ればもっと深く味わえる~オーパスワンにまつわる豆知識~
最後に、オーパスワンを飲む時間がもっと豊かになる、いくつかのトリビアをご紹介します。ワイン会などで少し話せば、あなたのワイン体験がさらに深まるはずです。
### 美しきワイナリーの秘密。建築と自然の融合
ナパ・ヴァレーのオークヴィルに佇むオーパスワンのワイナリーは、その建築物の美しさでも有名です。まるで古代遺跡か、未来の建造物のようにも見える円形の建物は、周囲の自然と見事に調和しています。これは、旧世界と新世界の融合という、ワイン造りの哲学を建築でも表現したもの。ワイナリー見学は完全予約制で、世界中からワイン愛好家が訪れる聖地となっています。いつか訪れて、あの場所でオーパスワンを味わってみたいものですね。
### ラベルに描かれた二人の横顔
オーパスワンの象徴的なラベルをよく見てみてください。そこには、創設者であるロバート・モンダヴィ氏とバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵、二人の横顔が描かれています。その下には、それぞれのサインも。このラベルは、このワインが二人の揺るぎない友情と、共通の夢の結晶であることを、静かに、しかし力強く物語っているのです。
### オーパスワンと日本の意外な繋がり
実は、オーパスワンには日本との意外な繋がりもあります。1990年代には、醸造チームの一員として日本人女性の「松本敦子」さんが活躍されていました。世界最高峰のワイン造りの現場で、日本人が重要な役割を担っていたというのは、なんだか誇らしい気持ちになりますね。
結論:人生の特別な瞬間に、最高の「作品」を
オーパスワンを巡る長い旅に、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
このワインが、単なる高価なカリフォルニアワインではなく、二人の巨匠の夢、ナパ・ヴァレー最高のテロワール、そして一切の妥協を許さない職人技が融合して生まれた、文字通りの**「作品番号1番」**であることを、感じていただけたでしょうか。
この記事のポイントを、最後にもう一度。
-
オーパスワンは、ボルドーの伝統とカリフォルニアの革新が融合した奇跡のワイン。
-
その価格は、歴史、哲学、最高の素材、妥協なき手間に裏打ちされている。
-
味わいは「力強さとエレガンス」の究極のバランス。長期熟成で真価を発揮する。
-
購入は必ず信頼できるお店で。最高の体験は、最高のコンディションから生まれる。
-
最高のステーキと、最高のグラスを用意して、その日を迎えよう。
人生には、忘れられない記憶として刻んでおきたい、特別な瞬間が何度か訪れます。大切な人との記念日、目標を達成した日、あるいは自分自身への最高のご褒美を贈りたい日。そんな時、あなたの傍らにオーパスワンがあれば、その瞬間は間違いなく、より一層輝きを増すことでしょう。
その一杯は、単なるアルコール飲料ではなく、あなたの人生という物語の、忘れられないワンシーンを彩る最高のサウンドトラックになるはずです。
まずは、あなたの記念の年のオーパスワンがどんな評価を受けているか、調べてみるのも楽しいかもしれませんね。いつかそのボトルを開ける日を夢見て。
乾杯!