こんにちは!今日は、ワインの「サスティナビリティ」と「ヴァンナチュール」の違いについてお話しします。まず簡単に言うと、「ヴァンナチュール」はワインのスタイルのことで、「サスティナビリティ」はワイナリーが果たす社会的責任のことです。同じオーガニック栽培や生態系の保護を行っていても、その目的は大きく異なります。これを知った上でワインを選ぶと、ワイン消費者として一歩先に進めますよ!
「自然派ワイン」「ヴァンナチュール」とは
「自然派ワイン」「ヴァン・ナチュール(フランス語)」「ナチュラルワイン(英語)」。これらの言葉はほぼ同じ意味で使われます。ただし、これらの言葉に明確な定義はありません。スタイルや製法、味わいの傾向を表す言葉として使われています。
ヴァンナチュールはどんなワイン?
明確な定義はありませんが、「ヴァンナチュール」として紹介されるワインには次のような特徴が多いです。
ヴァンナチュールの特徴
・ブドウの栽培はオーガニックやビオディナミなどの手法
・培養酵母ではなく自然酵母で発酵させる
・亜硫酸をなるべく使わない
・亜硫酸以外の添加物もなるべく使わない
・無濾過・無清澄で瓶詰めする
・毎年ラベルデザインが変わる生産者が多い
共通するのは「不介入主義」です。つまり、なるべく手を加えず自然に任せたワインづくりを目指しているということです。
パーカリゼーションへの反動
不介入主義が増えた背景には、2000年前後の「ビッグなワイン」への反動もあります。ワインアドヴォケイト高得点のワインが流行し、高アルコールで新樽熟成の「パーカー好みの」ワインが主流となりました。これに対して「人が手を加えない」ワインづくりが支持されるようになりました。
ヴァンナチュールを見分ける認証マーク
オーガニック栽培には定義がありますが、ヴァンナチュールの醸造方法にはほとんど定義がありません。生産者や販売者が「ヴァンナチュールだ」と言えば、それがヴァンナチュールです。その中で数少ない例が「Vin Method Nature」。フランスのロワール地方の生産者団体が始めたもので、亜硫酸無添加や少量添加の認証があります。
オーガニック認証とヴァンナチュール
オーガニック認証を取っていればヴァンナチュールかというと、そうではありません。オーガニックやビオディナミの認証を持っていても、ヴァンナチュールを謡わない生産者もいます。この違いは後で説明する「サスティナビリティ」の考え方を理解すると納得できるでしょう。
ビオディナミとは
ルドルフ・シュタイナーの理論に基づく栽培方法で、月の満ち欠けに従って農作業のタイミングを決めます。ボルドーのシャトー・ラトゥールやブルゴーニュのDRCなど、超一流生産者も採用していますが、認証を取らないケースも多いです。
ヴァンナチュールに期待されるもの
日本でもヴァンナチュールの需要は高いです。何に期待して選ぶのかは人それぞれですが、変化や面白さ、美味しさ、自然なものや環境への配慮などが挙げられます。ただし、健康に良さそうだからという理由については情報源の精査が必要です。
自然酵母による発酵とワインの風味
自然酵母による発酵は風味に複雑さをもたらしますが、不快な臭いを生む危険性もあります。一方、培養酵母は安定して発酵を進めることができますが、ヴァンナチュールの生産者はこの「期待通り」であることを嫌うことがあります。
自然な栽培の必要性
自然酵母での発酵を行うためには、健全なブドウが必要です。そのため、自然酵母での発酵を行う生産者はオーガニック栽培を行っていることが多いです。
オーガニックはヴァンナチュールのため?
ヴァンナチュールの生産者はオーガニック栽培をしますが、オーガニック栽培をしているからといって必ずしもヴァンナチュールではありません。目的が異なるのです。
オーガニックはワインを美味しくするのか?
「良いワインは良いブドウから」。オーガニックはブドウの質を向上させるかもしれませんが、それは一概に言えません。オーガニックの定義は国や認証団体により様々で、農薬や化学肥料などの使用が制限されています。
オーガニックの認証マーク
オーガニックの認証機関は多く、一番よく見かけるのはユーロリーフです。ビオディナミの認証としては、「Biodyvin」や「Demeter」が有名です。認証を取得するには数年の期間と費用が必要です。
なぜオーガニックでいいブドウができるのかは不明?
オーガニックを導入したワイナリーが「農法を転換したことでこういう良い変化がありました」と紹介する例は少ないですが、それでもオーガニックの方が美味しい傾向があります。オーガニック栽培の目的は必ずしもブドウの品質向上だけではなく、「サスティナビリティ」にもあります。
「サスティナビリティ」それは100年後の美味しいワインのため
「サスティナビリティ」とは、持続可能なワインづくりを指します。100年後も同じように高品質なブドウが栽培できるか、それがサスティナブルな栽培です。あなたの子どもや孫たちが美味しいワインを飲めるように、今から取り組むことが大切です。
生態系を守るためのオーガニック
オーガニックの目的の一つは、ブドウ畑を取り巻く生態系の維持です。殺虫剤を使わず、自然な生態系を守ることが重要です。
カバークロップの考え方
カバークロップはブドウの樹の根元に生える下草です。生態系を守り、土壌流出を防ぎます。地域や気候によりカバークロップの管理方法は異なります。
栽培だけじゃないサスティナビリティ
オーガニック栽培は労働者の健康にも配慮しています。労働者が健康で働ける環境を整えることもサスティナブルな取り組みです。
ワイン選びの次のステップに
ヴァンナチュールは人為的な介入を減らすスタイルのワインづくりです。オーガニックやビオディナミのワインもたくさんあります。どんなワインを選ぶかがワインの未来に影響を与えます。サスティナブルなワインも選んでみて、トレンドを味わってみるのもいいでしょう。